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祭日幻想

7

リノアを隣室に待たせて、スコールは促されるまま通された部屋で待つ。狭い部屋だが重厚な調度品の数々が高級感をかもし出している。
「待たせたかな?」
部屋に入ってきた人物に向かい、スコールはSeeD式の敬礼をする。カスター王国、国王ぺロギオスだった。
「堅苦しい挨拶はよい。かけたまえ」
薦められソファーに座る。
「ガーデンとの契約は、祭りが終了するまで。そうだな?」
「はい。模範演技と最終日のメダル受け渡し」
ぺロギオスは頷く。
「実は、君にやって欲しいことがあるのだ」
「?」
「行方不明になっている若い娘達がいるのだ。それを…」
スコールは慌てて制止する。

「待ってください。初めてお聞きします。それは契約のうちなのですか?」
国王が合図をすると、近くにいる召使がスコールに文書を差し出す。
ガーデンとの契約書だった。受け取り、ひととおり目を通したスコールは、その内容に舌打ちをする。
契約書には初日の模範演技から最終日のメダル受け渡しまでとあり、詳細については一切記述されていない。つまり祭りの期間中も含まれると解釈できるのだ。
(だれだ…こんな契約書を作成した奴は。依頼がいい加減なら、契約書もいい加減だ)
通常、契約はガーデンとクライアントの間で交わかされる。契約するかどうかはガーデンが決定することで、SeeDは干渉出来ない。スコールの場合も例外ではなく、リーダーとして全SeeDへ来た依頼や任務日数などを把握してはいるが、具体的な内容や、契約書に目を通すことはない。自分へ来た依頼も口頭で任務内容を告げられるだけである。

「こちらが望んだことゆえ、断ることが出来なかったということだ」
所詮は金で動く傭兵組織------そう軽蔑したように声に出さずスコールに告げてくる。スコールの中に不快感が広がる。それでも面には出さず、あくまで冷静を装う。
「で?」
スコールの促しにぺロギオスは思い出したように膝を叩く。
「おお、そうだった。さっきも言ったが、行方不明の娘達を探して欲しいのだ」
「どのような娘達です?」
「一概には言えんな。何人かもわからんのだ。私の耳に入ったのは最近だ。説明してやりたまえ」
召使が一礼し、説明しだす。
3ヶ月前のことだ。娘の遺体が海岸に流れ着いたのがきっかけであった。
「遺体は、顔も判別できないほどひどい状態でした…」

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文責:楠 尚巳