「大丈夫なのかな?SeeD服は動きにくくて嫌いだって言っていたけど…」
大勢の見物客に交じって心配そうに見守るのはリノアだ。
「大丈夫だよ〜、リノア。今のスコールには、どうってことないさ。だけどスコールのことだ。本当はカード大会のほうに出たかったんじゃないのかい」
横にいたアーヴァインがからかいと親しみを含んだ声で笑う。
「わたしもそう思う。どうせならカードのほうがよかったって言ってたもん。同じ客寄せチョコボでもカードを巻き上げられるぶんだけまし、って」
リノアは素直に頷き、彼女の右隣にいたセルフィが、からから笑い出す。
「あいかわらずのビョーキだね〜。ま、アルティミシア戦真っ最中でも、執念でクィーンからぜ〜んぶレアカード巻き上た人だからさ。ビョーキもあそこまでいけば立派な…」
セルフィが言い終わらないうちに、スコールは宙をけってルブルムドラゴン突進する。連続剣攻撃が始まった。三名を除き、初めて目のあたりにする技に観客は息をのむばかり。そして、最後は剣を振り回し、衝撃波を放つ…
「フェイテッドサークル!委員長、力の出し惜しみしてる〜」
「ま、賢明な選択だろ。最強技出したら、闘技場壊すわ、観客に怪我させるわで大変なことになるよ」
衝撃波がルブルムドラゴンを襲う。目がくらむ鮮やかな光線。場内を襲う爆風。巻き込まれた最前列の観客が吹き付ける強い風に小さな悲鳴をあげる。風が去ると同時に、ルブルムドラゴンは、力つきその場に沈んだ。