雲ひとつない真っ青な空―――
こんな天気の良い日は久しぶりだ、と誰もが心明るく思った日にそれはやってきた。
いったい、誰が思っただろう。
今、世界は消えようとしていることに。
いったい誰が気づいただろう。
今、人類の歴史が終わろうとしていることに…………
彼の意識の奥深くから、誰かの声が聞こえてくる。
誰かが言った。とても懐かしい誰か。
(……どうして、どうしてなの?!)
誰かが答える。よく知っているような誰か。
(理由ならわかるだろ?)
(……馬鹿げているわ。こんなことをしたら、全てが終わってしまうのよ?)
(……そうだとしても……俺は……)
(今ならまだ間に合う、引き返しましょう。……お願い……わかって……)
(アユタ……)
これは……なんだ。
どうして俺はこんな夢を見ている?
いや、夢じゃない。
体は起きている。
意識だけが暗い底に沈んでいるのだ。
懸命に意識を泳がせてみるものの、うまく浮上しない。
出口はどこだ……?
アユタ!
突如、誰かの声が意識を引っ張り上げた。
アユタ! アユタ!
その声にぐんぐんと引っ張られ、面白いように上昇していく。
そして。
……アユタ・ユティルはようやく目を覚ました。