「ご苦労さまでした」
カルナから報告を聞き、
「これで表向き、我々もレディ・アンドレアしか選択肢がないということですか」
ラウルスはぼやく。
「そのレディ・アンドレアからの例の提案だけど、私とアデリーナの二人をレディ・アンドレアのもとへ送り込むことはできるかしら?」
「それはまぁ…出来なくもないですが。すると、やはりアデリーナは…」
「ええ。間違いなくコクシよ。それも極めて特殊なコクシ。彼女の核となっている光の精霊が、彼女と一緒にいることを望んでいる限り、私には倒すことはできないわ」
「いえ、訂正するわ。倒すことはできる。でもそうして無理矢理解放しても、光の精霊は世界の終わりまで泣いて過ごすことになるでしょう。それがわかっていながら攻撃することは、光の精霊王への裏切りになるから出来ないの」
それを回避するための手段は、ひとつしかない。
そのためには……
「私は彼女の核となっている光の精霊が、なぜあそこまで彼女を慕っているのかを理解しなければなりません」
「かしこまりました」
ラウルスはペンをとった。
-Fin【戴冠の儀(後編)へ続く】-