さて…・
翌日、国王の態度を苦々しく思いつつ、真面目に代理で政務をこなしていたスコレットの元に、ぼやき三人従者が転がり込んでくる。みれば顔が青ざめているではないか。
「スコレット様ーーっ!」
「なんだ?お前達が珍しい…しかも朝っぱらから。騒々しいぞ。食堂でのぼやきはどうした?」
「それどころじゃ…実は昨夜見たんです!」
ぼやき従者1が震えながら報告する。
「俺も!」
とぼやき従者2。
「あっしも!」
とぼやき従者3。
ぼやき三人組声をそろえて、
「秘密の場所で!」
スコレットの顔色が一瞬にしてかわり、脇に置いてあるガンブレードに手をかけた。
「そうか…そうか、そうか。貴様ら…俺とオフィーリノアの逢瀬を覗き見したんだな…たとえ正直に申し出てきたとしても許さん!!」
ご乱心のスコレット、ぼやき従者三人に切りかかる。
「違う−っ、違いますよ!!俺達が見たのは幽霊ですって!」
「幽霊?」
スコレットはガンブレードをおろした。ぼやき三人従者は安堵のため息をつく。
「本当に短気なんだからさ…ああ、もう少しで必殺技食らうとこだったよ」
「ああ、すまなかったな。で、幽霊とはなんだ?」
「(それだけかい!)ええっと、昨夜、秘密の場所に幽霊が出たんです」
スコレットはこめかみに皺を寄せる。
「まさか…母上か…?」
国王のあまりの狂態ぶりに、さまよい出てきたのだろうか、ああ、母上、お気の毒に。
「王妃様…?いいえ、あっしらが見たのは、男でしたぜ」
ああ、母上、お気の毒に。きっと、あいつのせいで安らかな眠りにもつけず、そのお姿をゆがめられたに違いない。男に変ってしまうとは。スコレットの苦悩は深い。
「(悩むな!)そ、それは違うと思いますよ、俺達が見たのはどうみても…」
スコレットに小声で耳打ちをする。
「なんだと…本当か?」
「はい」
「…今夜も出るんだろうな?」
「おそらく」
「よし…俺を連れていけ。案内を頼む」
「(こ、恐い…)はい。もちろんです」
その夜…
「ここか?出るという場所は?」
三人に案内され、秘密の場所へ辿りついたスコレット。ガンブレードを抜き放ち、軽く体をほぐす。
「スコレット様…まさか、使う気ではないでしょうね?」
「思いっきり、使う気でいるが?」
涼しい顔で言いきるスコレット。
「なにかあったらどうするんです?(幽霊が斬れるんかいな?)」
「かまうもんか…と、あらわれたらしいな…」
「で、でたーーっ!」