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スコレット

1

それはバラムガーデン王宮、食堂での三人のぼやき従者達の会話。
「知っているか」
「何をだ?」
「それがなぁ、真夜中、秘密の場所とよばれている、あの場所に幽霊が出るんだってよ」
それを聞いたぼやき従者1は、ふん、と鼻を鳴らす。
「馬鹿か。ガキじゃあるまいし。幽霊なんて信じてるのかよ?」
「見たんだよ!俺がこの目で!宙に浮いていて、あれは絶対に幽霊だせ!」
「ああ、わかった、わかった。で、どんな幽霊だったんだ?」
「それが…」
「なにーーっ!!」
告げた言葉に他の二名は驚きのあまり食堂中に響きわたるほどの声を出し、食堂をしきる女官から厳しく注意されてしまった。恐縮して謝り、ひそひそ声で続ける。
「本当か…?」
「ああ」
「どうする?スコレット様に言うか?」
「うーん。その前に嘘だったら、必殺技で殺されるぞ。短気な上に冷酷な方だからな」
とりあえず、もう一度確かめてから、と三人は今夜秘密の場所へ行くことにした。

スコレットは、中庭にいた。先ほどから不機嫌そうな顔でイライラ。皆、近寄りがたく、あえて声をかけようとする度胸の良い者はいない。
「あ、あの、王子様…」
召使いの一人が、勇気を出しておずおずと声をかける。ぎろり、と睨まれ、召使いは危うく悲鳴を上げそうになった。
「お、王様の代理で…」
「あいつのことなんぞ、聞きたくない!」
俺の不機嫌な理由が、あいつにある、と分らないのか------無言の圧力を受け、召使いは今にも失神しそう。ただでさえ彼らの王子は、するどい容貌の所有者なのだ。その容貌にすごみが加わると…それは、それは、恐ろしい。だが、なんとしても説得して連れていかなくては、召使い自身が罵倒される運命が待っている。
(ど、どうしたら…こうなったら、お頼みするしか…)
召使いは、側の従者に何やら耳打ちをする。従者は頷き、いずこかへ駆けていった。

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文責:楠 尚巳